日本大学前理事長の田中英寿容疑者(75)が脱税容疑で逮捕された事件で、前理事長が東京地検特捜部の調べに対し、リベート収入などの一部の受領と税務申告しなかったことを認める調書に署名したことが、関係者への取材で分かった。これまで現金受領を否定していたが、供述を変えた。
田中前理事長は妻と共謀し、2018年に1千万円、20年に1億840万円の計1億1840万円のリベート収入などを申告せず、計約5328万円を免れたとして所得税法違反容疑で逮捕された。妻は一部の現金を受け取り、前理事長の税務申告も担っていたとされる。
関係者によると、田中前理事長は最近になり、医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」前理事長・籔本雅巳被告(61)=背任罪で起訴=が18年12月に妻に渡したとされる1千万円について、「後で妻からお金をもらったと聞かされた」とし、過少申告の認識もあったと認める調書に署名したという。自身が受け取ったとされる分を含め、他の現金受領についても順次認める意向だという。
田中前理事長は11月29日に逮捕された。当初は自らや妻の現金受領を否定し、税務申告も「妻に任せていたので知らない」と供述していた。だが、妻が籔本被告の留守番電話に「たくさん頂いてありがとう」などと、現金提供のお礼とみられるメッセージを複数回残していたことが判明。前理事長は「妻が共謀で起訴されるようなら自分が全責任を負う」として容疑を認める考えに転じたという。妻は体調不良で入院中で、事情聴取は困難とみられる。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル